期待するだけでは人は伸びない。
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多くの人間は自分のことは自分が一番わかっていると思っているに違いない。しかし自分の意思で自分の行動を変えたり、進む道を選択したりしているだろうか。宿命的に選ぶべくして選択しているのが人間である。よく考えてみてほしい。本当の今の自分の選択以外に選ぶべき道があり自分はその中から選んでいるのか、環境の結果、必然的に選択したのかを考えてみるとよい。実際は環境により選択権が支配されているのであり、人に選ぶ権利はもともとない。
必然的選択を自己選択と思いこんでいるのである。


世のお父さんお母さんは、わが子に多くの期待をかけ、それは多くの代償を支払って
いることでしょう。

しかし、お金を使って子供に夢を託しているだけではありませんか?
言葉で子供に言い聞かせているだけではありませんか?

しかし、なかなかうまくいかないのはなぜでしょう。はかなき夢に終わることは多々
あります。
何が駄目だったのでしょうか? 

子供の能力の問題にしていませんか?

ある親は、自分の子供に大きな期待をかけてわが子をお医者さんにしたいと、
「医者になれ!これからは医者がいい!医者になれば将来安泰!医者は儲かるぞ!」
なんてことを言い聞かせて、子供をその気にさせるのです。
そして有名進学塾に通わすのですが、子供は途中でドロップアウトしてしまいます。

自分の子供をお医者さんにしたいなら、お医者さんになれる環境を作ってやることが
大切です。子供に「医者になれ!」とばかり言っても、それは子供が辛いだけです。
医者にならせたいなら、極端な話、医者以外に興味を持たせるようなことは極力避け
て、友人関係も選別して勉強をしやすい環境を作ってやらなければなりません。

先の子供は、中学校で気の合う友達と音楽を始めたのがきっかけで、高校をやめて音
楽の道を進むことになりました。


同じように勉強の嫌いな子供に勉強をしろといっても子供は辛いだけです。
遊びたい年頃の子供に勉強をしろといっても、遊びの方が、メリットが大きいもので
す。

人は見返りが小さいと他の大きな見返りのある行動をとってしまいます。

勉強をするよりゲームやテレビの方が、メリットがあり楽しいものです。
勉強をやらなければいけないと分かっていてもできないのは、勉強をしてメリットを
得るよりも、もっと簡単ですぐにメリットを得るものがあるからです。

そこで勉強を持続できるように環境を整えてやることが大切になってきます。
学校や教師は子供が勉強に興味を持てる環境を作ってやる。親は、親同士円陣になっ
て、学校が終わって遊ぶ前に、子供同士が一緒に勉強をする環境を作ってやる。


人に期待をかけたり、人を言葉で言い聞かせたりするには、環境を整え、そこにしっ
かりとメリットを置かなくては意味がありません。


期待してもそこに環境が整っていなければ無駄に終わってしまいます。その例を一つ。

一軒の自分の店を待つ職人がいました。そこにやってきたある料亭の社長がその店の
職人に惚れ込み、その職人を高待遇で自分の料亭へと招きいれたのです。

その職人のどこに惚れ込んだのかと言えば、社長はその職人の料理の腕はもちろん、
無駄のない料理の仕方にほれ込んだのです。
きゅうりの切れ端を包丁さばき一つで、わさび皿へ。レタスやキャベツの芯などもド
レッシングのお皿へと見事に変える。料理においてほとんどごみを出さない。まさに
無駄のない料理でした。
そして、それが経費削減にもつながるだろうと見込んでいたのです。

しかし、その職人は社長の期待通りにはいきませんでした。仕事振りは、自分で店を
切り盛りしていたころより杜撰になり、経費も増えていました。
料理の腕こそ変わりはなかったが、ほれ込んだ仕事振りが見られない。

さてさて、それはなぜでしょう。
その職人は、店を変わるとどうして今までの行動を変えてしまったのか。

それは、まず、自分が何を期待されていたのかを知らなかったからです。料理の腕前
をかってくれたのだろうと思っており、無駄のない料理法は二の次だと考えていたの
です。だから、社長が期待した通りにはいかなかったのです。

そして、大事なのが環境の変化です。自分で店を切り盛りしていたころは、経費を浮
かせばそれだけ自分に返ってきます。そこにはメリットがあります。
しかし、新しい店ではいくら経費を削減しようが、無駄に使おうが、月に払われる給
料は一緒です。
そんなところに期待していることなど知る由もなく、行動の変化をもたらしてしまっ
たのです。


自分が期待したとおりに相手が動いてくれないことは多くあります。
しかし、その原因は、自分側にあることが多いものです。

考えてみれば、期待だけをして、自分は何もしていないのではないでしょうか?

相手を期待通りに動かしたいなら、期待する行動を告げ、行動を起こしやすいように、
そこにしっかりとメリット・デメリットを置いてやらなければなりません。

見返りもおかず、期待だけをかけて相手を苦しめている人は意外と多いものです。

まとめ

人は見返りが小さいと他の大きな見返りのある行動をとってしまいます。

相手を期待通りに動かしたいなら、期待する行動を告げ、行動を起こしやすいように、
そこにしっかりとメリット・デメリットを置いてやらなければなりません。





14年前の「発行管理者:かずひさ」氏のメルマガ「やる気が出ない本当の理由」
からの引用です。