だまされやすい人
自分がなぜ動けないのか、自分としての意識、自分の行動を決する魂あるいは潜在意識は環境の影響で行動の動機が規定される。潜在意識の動機を意識は追認する。意識には願望がありそれを自分の考えとしている。できない理由、踏み出せない理由はただ一つ自分の潜在意識に行動の変化をもたらすだけの環境が整っていないということに他ならない。意識はうわばみのようなものの、とすれば自己変革を自分の意識で達成することはできないことになる。一方では自分の行動力不足を言い訳することも可能になるというおかしな関係である。
自分がなぜ動けないのか、自分としての意識、自分の行動を決する魂あるいは潜在意識は環境の影響で行動の動機が規定される。潜在意識の動機を意識は追認する。意識には願望がありそれを自分の考えとしている。できない理由、踏み出せない理由はただ一つ自分の潜在意識に行動の変化をもたらすだけの環境が整っていないということに他ならない。意識はうわばみのようなものの、とすれば自己変革を自分の意識で達成することはできないことになる。一方では自分の行動力不足を言い訳することも可能になるというおかしな関係である。
N君は友人とパチンコに行った際、
お金を貸して欲しいと頼まれ、
数万円貸したことがありました。
その友人は「ありがとう」といって
そのお金でパチンコを始めました。
その友人は、そのとき大勝ちして
借りたお金に色を付けてN君に返しました。
N君は、ちゃんと返してもらったので一安心。
しかし、それからたびたび、
その友人はお金を貸してくれと
N君に頼むようになります。
お金を貸してくれたというメリットが、
N君にお金を借りに来る原因ですね。
N君も、ちゃんと返してもらっていたので、
特に断る理由もなく、貸し続けていました。
しかし、その額が、初めは数万円だったのが
次第に高額になり、何十万という金額になっていきました。
高額になるにつれ、それだけのお金を
すぐに用意して返せるものでもなく、
期日を過ぎることもしばしばありました。
それでも、何とか、利子もしっかり付けて
返してくれていたのですが・・・。
額が100万円を超えたとき、連絡が途絶え、
1ヶ月が過ぎ、2ヶ月が過ぎ、
とうとうトンヅラされたのです。
その話を周りにしたN君は、
「なんでそんな大金を貸すの!貸すほうが悪い!」
などと責められるのです。
確かに、100万という高額なお金を
友人という名目だけで貸してしまった
自分の落ち度を感じます。
しかし、そうは思いつつも、
自分でもなぜ貸してしまったのだろうと
腑に落ちないのです。
それもそのはず、
N君は、まんまと行動の術中に
はまってしまったのです。
人は、一度、メリットを受け取ると
相手を信用してしまいます。
ここでのメリットは、友人からの返済です。
貸した時の不安が、返済されることで
解消されるといったメリットがあります。
また、お礼として受け取る数万円もメリットになります。
一度、返済を受けると、
「お金を貸しても返してもらえる」
といった信用が作られます。
そのため、また頼まれると、
簡単に貸してしまうことになります。
そして、ここで重要なのが
順を追って徐々に額を増やしていること。
突然、100万円貸してほしいと言われても
誰も貸してはくれません。
しかし、すぐに返せるような小額なら
多くの人は貸してくれるものです。
初めは1万円から。
次に5万円、次に10万円・・・
と順を追って増やしていけば
最終的に高額なお金を借りれてしまうものです。
前にこれだけ貸して、ちゃんと返ってきたのだから
これぐらい貸しても大丈夫だろうと、
抵抗がなくなっているのです。
一般にだまされやすい人というのは、
その人が馬鹿だからでも、
世間知らずだからでも、
田舎っぺだからでもありません。
考えが浅はかだからでもありません。
その人が信じてしまうのは、
それまでの過程に問題があります。
貸すか貸さないかどちらか迷ったとき、
人は何を基準に考えるか。
それは自分の過去を基準に考えます。
N君の場合もそうです。
貸しても返ってくる。
それが幾度となく繰り返されてきた。
それが多少高額になっても返ってきた。
そのことが前提にあるために
貸してしまうのです。
一度貸してしまっているために、
断る理由もありません。
だから、貸してしまうのです。
人を信じるか信じないかも同じです。
人の言うことを真に受けても
損をしたことがない。
逆に得をしてきた人なら、
すぐに人の話を信じてしまうものです。
そこに性格や知能の問題を
絡める必要はありません。
人はそんなもので行動していません。
気を付ければいいという問題でもありません。
実際に、多くの人が
詐欺の手口でだまされています。
人を信用させるには
自分の言うことが本当であると
示してやればいい。
ただそれだけで人は信じてしまうものです。
「儲け話がありますよ。一口千円からです。
これぐらいのお金なら痛くはないでしょう。
どうです、うまくいけば数万円になりますよ」
確かに千円ぐらいなら痛くないと、
遊び気分で千円を渡してみると、
実際に数万円になって返ってきた。
「ほら、言ったとおりでしょ。
次はその儲かったお金でさらに投資してみませんか?
当たれば数十万になりますよ。
まだ千円しか投資してないのですから、
痛くはないでしょう。」
そういわれると確かに千円の出費だけです。
言われるままに儲かったお金を渡す。
結果はスカ。
しかし、千円投資した事実はあり、
儲かった事実もある。
その投資話が、単に初めから千円を騙し取る詐欺だとは
誰も気づかない。
投資話なんて初めからないのです。
まして、次の誘いに乗る人もかなりいるものです。
「また千円から始めましょう。
ほら、前に数万円儲かったじゃないですか」
そういわれるとお金を渡す人は出てくるものです。
一度いい思いをすると、
また同じことを繰り返す。
メリットのある行動は繰り返される、ですね。
詐欺を見破るのは、
詐欺の手口を知るしかありません。
行動の術中にはまれば、
人は誰でも信じてしまいます。
人を信じることができる社会に育ってきた以上、
仕方のないことです・・・。
まとめ
一般にだまされやすい人というのは、
その人が馬鹿だからでも、
世間知らずだからでも、
田舎っぺだからでもありません。
考えが浅はかだからでもありません。
その人が信じてしまうのは、
それまでの過程に問題があります。
メリットを与えてやれば
人は信じてしまうものです。
行動の術中にはまれば、
人は誰でも信じてしまいます。
人を信じることができる社会に育ってきた以上、