ひったくりが流行る理由
私たちは皆、“心”を持っていると信じています。行動を起こす前提として自分というものがありその意志と欲求に基づき行動を選択していると思っています。ところが他の動物との決定的な違いとして人間の理性や自由意志を考えてみると、昨今の脳科学では行動の後付けであるとわかってきました。自由意志が先にあるわけではなく、行動を選択した理由を後付けで納得させる仕組みになっているのです。驚くべきことではありますが、人の行動にはそれをさせる法則があり、自分の意思ではなく無意識のうちに行動の法則に従い選択しているのです。

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「遊ぶ金が欲しかった」
少年達は口をそろえて、そういいます。

大阪の町でひっきりなしに
繰り広げられているひったくり。

若者だけに限らず、
40,50を過ぎたおっちゃんまでも
原付に乗ってひったくりを繰り返しています。

「お金が欲しい」というのは、
お金に困っている人だけに限らず、
ゆとりのある人でも思うことです。

お金が欲しいからひったくりをした?

それなら、世の中の9割の人は
ひったくりの常習犯になります。


しかし、実際はそんなことはありません。

動機といったあやふやなもので
人の行動を捉えてはいけません。

ならば、どうして、
ひったくりをするのでしょうか?


簡単に何でも手に入る世の中だけに、
心が貧しくなり、
その代償に犯罪が繰り広げられている?

いえいえ
そんな誰かの受け売りで
人を見てもらっては困ります。


犯罪には激情犯と計画犯があるといわれます。

激情犯は、後先のことなど考えられず、
カーっとなって罪を犯してしまう。

なんとなくだが分かる気がします。

しかし、
お金が欲しいからひったくりをした。

借金があったから強盗をした。

そんな短絡的な行動を
どうして取れるのでしょうか。

計画犯となると理解に苦しみます。


しかし、これもしっかり理解できます。

それは、その行動により
大きなメリットが得られるからです。

お金を得ることが出来るのです。

それも、短時間で簡単に。

そして、大事なのが、
実際に罪を犯す人というのは、
その行動を抑制するデメリットが
一般の方より小さいのです。

仮に捕まっても、
その人たちにとっては、
一般の人が思うほどの罰には相当しない。

失うものは他にはない。

築き上げてきたものも目標もない。

今が苦しい。

捕まる可能性も低い。

そうなると、
犯罪に手を染めてしまうのも
理解できないことではありません。

また、一度ひったくりで成功すれば、
その行動の生起頻度は上がり、
繰り返されることになります。

ひったくりが流行るわけです。


馬鹿だから、教養がないから
短絡的な行動を起こすのではありません。

現に、教養ある?はずのエリート方も
計画的犯罪を繰り広げています。

政治家や警察官の汚職。

大手食品会社の不正受給。

巨大組織が不正を働いたのはなぜでしょう。

用意周到に隠ぺい工作までしてくれる。

人が理性で生きているなら、
エリート達は理性がないのだろうか?


自分の行動を統制するに当たり、
頭の良し悪しは関係ありません。

本人にとって
そうすることに大きなメリットがあり、
罰を受ける確率が低い場合、
人はメリットのある行動を選びます。

また、一人では出来ないことでも
集団だと違ってきます。

集団だと、「自分ひとり」といった
心細さや不安が緩和され
デメリットが小さくなってしまう。

集団心理により
犯罪が起こされやすくなります。


普段、人は頭で考えて
生きているわけではありません。

規範意識や道徳心に訴えかけても
効果は期待できません。

犯罪を起こしてしまうのは、
それだけの環境が整っているからです。

短絡的な行動をとらせないためには、
その人の環境ににしっかりと
メリットとデメリットを
おかなければなりません。

ひったくりをする若者には、
建設的な目標を持たすこと。

それが行動抑制につながります。

そして何より、
犯罪は検挙率を上げることが大事です。

頻繁に見られる犯罪は
捕まる率がそれだけ低いからだと言えます。


まとめ
  
犯罪を起こしてしまうのは、
それだけの環境が整っているからです。

実際に罪を犯す人というのは、
その行動を抑制するデメリットが
一般の方より小さい。

または、捕まる率が