不快感情の仕組み
私たちはいくつもの感情を持っています。人をうらやむ気持ち、感謝する気持ち、悪意ある感情、人を蔑み差別する心、やさしさと思いやりと悪意と敵愾心は同時に心の中に存在します。実はどれも自分なのです。人の脳、いわゆる心は分散型のコンピューターと同じです。どれも真実であり、同時進行します。しかしどの感情や思いが支配的な力を持つかによりその人の性格が規定されます。悪い心があることは自然の成り行きです。その中からよい心、善い行い、人を愛する心が優勢になり人格が決定されます。悪いこと悪意を持つことは自然のことです。しかし良い思い、人への優しさが勝ち残るから人間なのです。

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我々は、行動と同じく感情や思考も
自分ではどうすることもできません。

嫌なことがあると
それをいつまでもくよくよ考えていたり、
忘れたいことがあっても
なかなか忘れられないでいたりするものです。

自分の思うように行動できないのと同じで、
そういう時は意思の力ではどうすることもできません。

どうすることもできない感情や思考は、
ほっておくのが一番です。

ですが、不快なだけに、いてもたってもいられなく
何とかしようとしてしまうものです。


そこで、不快な感情や思考の発生原因を知って
ほっておくことができる自分を作ってみましょう。

自分の感情や思考の原因が分かるだけで
「あ~まただ。はいはい、わかったよ!」
なんて気軽に不快感情と接することができます。
何より、ほっておくことができるようになります。


感情や思考といったものは、
行動と同じ、環境の力をもとに成り立つものです。

つまり、その感情や思考が発生した結果、
環境からどのような見返りが得られたかによって、
その感情が活きてくるかどうかが決まります。

自分にメリットのある感情、思考は、
生起頻度が高くなります。

逆に、メリットのない感情、思考は
生起頻度が下がります。


悲しさ、寂しさ、不安、恐怖など
一般に見られるマイナス感情は、
本人にとってはデメリットです。

できることなら感じたくない不快なものです。
なのに、なぜマイナス感情は起こるのでしょうか。

本人にとってデメリットなら
そのような感情は起こらなくなるはず。

行動分析学の理論からすれば、
メリットのない感情、思考は
出現頻度が下がらなくてはいけない。

なのに、逆に学習してしまうのはなぜでしょう。

その理由は、マイナス感情が起こるおかげで、
その感情にまつわる行動を
起こさないようにしてくれるからです。


ある出来事が、その人にとても悲しい思いをさせました。
自分が起こした行動の結果、
取り返しのつかないことになってしまった。

すると、その人はそのような出来事を
今後起こさないように努めるでしょう。

辛い出来事を回避するために
マイナス感情があるのです。

辛い出来事があっても笑っているようであれば、
同じことを繰り返してしまいます。

そうならないためにマイナス感情はあるのです。


また、マイナス感情がいつまでも続き、
その人を苦しめることがあります。
うつ病、PTSD、恐怖症、パニック障害、
その他不安障害などもそうです。

ある感情や思考が生起してくれるおかげで、
人は自分に不利益な場面から
回避することができます。

阪神・淡路大震災のとき、揺れを感じた瞬間、
何が起こったのか理解できなく
恐怖と不安に襲われたことでしょう。
僕もその一人です。

どうにかしようと慌てふためき、
その驚愕な状況から逃れようと
必死になったものです。

結果、家屋や家財を失ったものの、←僕じゃありませんよ。笑
九死に一生を得た。

これはメリットを得たことになります。
あれほどの恐怖から逃れられたのだから
大きなメリットです。

すると、そこでの恐怖や不安は、
自分の身を守るための大事な感覚となります。

あのような死と隣り合わせの状況から
自分を遠ざけるための重要な担い手です。

そこで、あの恐ろしい状況に
二度と遭わないためにも
出現頻度を高めて
自分の身を守ろうとします。

恐怖や不安をあおって、
自分の身を守ろうとする。
これが、震災後のPTSDです。

僕自身も、震災後しばらくの間、
なんでもない小さな地震でも
大きな不安と恐怖に襲われたものです。

その他、原因不明とされる心の病の多くは、
必ずそこにメリットがあります。
必ずメリットで維持されています。

不快な感情を発生させて
自分の身を守ろうとしているのです。


感情や思考そのものが単体で、
それだけでは自分にマイナス、
もしくはデメリットであっても、
その感情や思考が発生した結果、
本人にプラス、もしくはメリットとなれば、
学習され出現頻度は高くなります。

マイナス感情は
不利益になるものから
遠ざけてくれる
ありがたいものです。

まとめ

感情や思考そのものが単体で、
それだけでは自分にマイナス、
もしくはデメリットであっても、
その感情や思考が発生した結果、
本人にプラス、もしくはメリットとなれば、
学習され出現頻度は高くなります。

マイナス感情は
不利益になるものから
遠ざけてくれる