おねしょの治し方
ご指摘いただいたとおり、「叱る」という見返りをおねしょをした子供に与えてしま
うのは、間違いでした。
と言いますのも、「おねしょ」といったものは、オシッコをするということ。
つまり生理反応です。
そのようなものを、メリット・デメリットで統制しようとすること自体、問題があり
ます。
ですので、おねしょを直す場合、オシッコをしないようにするのではなく、別の違っ
た行動を学習させることを目的とします。
それは、寝ているときに尿意を“感じさせる”ことです。
その前に、少し、おねしょに対しての、私自身の見解を述べさせてもらいます。
おねしょとは、心の問題が関連しておこる心身症として捉えるのではなく、発達の問
題、あるいは、行動の問題として捉えます。
行動の問題なので、しっかり環境を整えれば、おねしょはなくなるものと考えます。
そこで、用いられるのが、「おねしょブザー」と言われるものです。
(名前は不確かです)
お布団に敷くシーツに、オシッコをするとブザーが鳴る装置を取り付けたものです。
そのシーツで寝ていてオシッコをしてしまうと、ブザーが鳴って目が覚めます。
おねしょを繰り返して何度も目が覚めるうちに、オシッコをしてしまう前に、目を覚
ますようになります。
これは、パブロフの条件付けを応用したものです。
パブロフの条件付けとは、餌と一緒にベルの音を聞かせ続けられた犬が、ベルが鳴る
だけでヨダレを垂らすようになる、といった学習理論です。
餌を与えられると、犬はヨダレを出します。これは無条件反応といわれるものです。
我々も、梅干やレモンを想像するだけでヨダレを出します。無条件反応です。
本来、ベルの音だけではヨダレを出さない犬も、餌と一緒にベルの音を対提示してや
ることで、ベルの音だけでヨダレを出すようになります。
餌=ヨダレ → 餌+ベル=ヨダレ → ベル=ヨダレ
子供のおねしょの条件付けの場合は、以下のようになります。
ブザー=目を覚ます → ブザー+尿意=目を覚ます → 尿意=目を覚ます
この学習は、尿意があれば目を覚ましてトイレに行くことを学習させるものと考えら
れていました。
しかし、現在では、この学習によって寝ているときに膀胱をコントロールできるよう
になることが分かっています。
ある程度寝ているときでも、「中枢神経」が働き膀胱をコントロールできる成人型の
睡眠覚醒リズムを獲得できたと考えられます。
ですから、実際に、おねしょをしなくなった代わりに毎晩起きてトイレに行くという
ことはありません。
正確に言いますと、
ブザー=中枢神経の覚醒→ブザー+尿意=中枢神経の覚醒→尿意=中枢神経の覚醒
となります。
この学習は、数年後の再発もなく、現在もっとも有効な治療法と思います。
まとめ
おねしょは叱ってはいけません!
おねしょは、まだ学習できていない行動の問題です!
からの引用です。