メリット・デメリットの使い方

人や動物の行動がメリット、デメリットで成り立っているなら、行動を統制するのは
簡単なはずですよね。

相手を自由自在に操ることが出来るのではないだろうか。自分を理想の自分に近づけ
ることも出来るのではないだろうか。
そして究極には、社会問題や犯罪もなくなるはずです。

そんなことになれば、僕はノーベル賞ものですね。

でも、安心してください。実際にそんなことにはなりません。

人を自由自在に操ることは至難の業です。
人を統制するにはそれなりに多くの問題があります。
それは、人を体罰や脅しによって行動を統制するといった人権問題はもちろんのこと、
それ以外にも、行動そのものを操る上でも問題があります。


一つに、

『人それぞれ、動物それぞれによってメリット・デメリットは違ってくる』


自分が好きなものが相手も好きとは限りません。甘い物が大好きな人がいれば、大嫌
いな人もいます。辛い物が大好きな人がいれば、辛いものは受け付けないという人も
います。

読書が好きという人もいれば、活字を見るだけで頭が痛くなる人もいるでしょう。
人それぞれ、メリットとデメリットは違っているものです。


同じメリットを与えても、メリットにならない人が出てくるということです。


ある家庭で起こったことです。
デメリットと思えた罰が、当人にとってメリットとなっていた事例です。

毎晩、遊び呆けて、帰ってくるのは午前様。
そんな高校生の息子を、何とかしようと母親が思いついた策が、門限を作ること。
門限を過ぎれば家に入れない。
となれば、12時までには帰ってくるだろうと母親は予想していたのだが・・・。
12時を過ぎても息子は帰ってこない。本人は喜んで夜通し遊ぶようになってしまっ
たのです。

鍵を閉められるから早く帰ってくるだろうと見込んだ母親の行動は、息子の夜遊びを抑
制せず、逆に夜通し遊ぶといった行動を招いてしまったのです。
罰と思えた門限が、子供にとってはメリットとなり、夜遊びを助長したのです。

メリットとデメリットは人それぞれ違うということ覚えておきましょう。


もう一つに、

『メリット・デメリットは、その人の状況によって様々である』


お腹がすいた時、七輪の上で焼かれた肉汁滴る特上霜降りカルビは格好のメリットで
す。そこに炊き立ての新米コシヒカリがあれば、文句なしですよね!

では、それを「これでもか!」と、たんまり食べたあとではどうなるでしょう。
胸焼けがするはずです。デメリットに近いものがあります。

夏真っ盛り、ビーチパラソルの下で海を見ながら食べるかき氷は格別においしいもの
です。
しかし、これが冬となれば話は変わってきます。北風ピューピュー吹き付ける寒さの
中ではかき氷なんて見るのもいやです。


メリット・デメリットは、「その人」、「その場所」、「その状況」によって変わっ
てくることを覚えておきましょう。


行動を統制したいときに大事なことは、メリット、デメリットがしっかりとその効果
を現しているかどうかを確認しなければなりません。

メリットを与えてその行動の生起頻度が上昇したかどうか。
デメリットを与えて、その結果、その行動の生起頻度は減少したかどうか。
結果を見て判断しなくてはいけません。


そして、もう一つ。

『メリットがどの行動を持続させているのか、逆に、デメリットがどの行動を抑制し
ているのか、不確かなときがある』


室内で犬を飼った人なら分かると思いますが、子犬がトイレ以外の場所でおしっこを
した時、叱ることがあったと思います。しかし、このとき、子犬はその場所でおしっ
こをしたことを叱られているのか、おしっこをすること自体を叱られているのか判断
できないものです。

そのようなデメリット(叱ること)は適切ではありません。

つまり、デメリットを与えても、そこに何通りかの取りようがある場合、不適切な操
作といえます。


また、メリットを与えたにしても、望ましくない行動にメリットを与えていることが
あります。

先生が宿題を出したときに、その生徒は友達の解答をそのまま写して提出しました。
しかし、それを知らない先生は、よくできたと褒めてくれます。
生徒が学習したものは、宿題をするという行動ではなく、友達の宿題を写すという行
動です。

しっかりと行動を見極めなければ、間違った行動を学習させてしまうということです。


そして最後に、

『メリット・デメリットを与える場合、その行動の直後に与えなければならない』


寝小便をしてしまった子供に、朝起きてから叱っても意味はありません。
おしっこをしたその瞬間に叱ってやらなければ効果がないものです。
おねしょが直らないのはそのためです。

自分の行動を直したいときは、後で言ってもらうのではなく、その場で注意してもら
うことが大事です。


人の行動がメリット・デメリットで成り立っているからといっても、用法をしっかり
学ばないことには、効果は期待できません。

ただこれだけはいっておきます。

人それぞれ行動に違いが出るのは、性格の問題ではありません。
または、頭の良し悪しがその人の行動を決めているのではありません。

頭のいい人は、エイズの怖さを知っているからきちんとコンドームを使用し、タバコ
の害をきちんと認識しているから吸わない。勉強も頭がいいからこそ続けていくこと
が出来るのだ。

逆に、頭が悪い人は快楽に走るためにコンドームをつけず、タバコの害の認識の甘さ
からタバコを吸ってしまい、勉強も頭が悪いだけに持続できないのだと言わないでく
ださいね。(笑)

いくら頭がよかろうが悪かろうが関係ありません。
人はそれぞれ、違った環境で育ち、違った形の見返りを受けています。
ある人はメリットであっても、ある人にはメリットにはならないことは多々あります。


まずは、当人にとってのメリットとデメリットを捉えること。
それができれば、どの行動を統制するのかしっかりと見極め、行動の直後に見返りを
与えてやること。
それが人の行動を統制する効果的な方法です。


まとめ


『人それぞれ、動物それぞれによってメリット・デメリットは違ってくる』

『メリット・デメリットは、その人の状況によって様々である』

『メリットがどの行動を持続させているのか、逆に、デメリットがどの行動を抑制し
ているのか、不確かなときがある』

『メリット・デメリットを与える場合、その行動の直後に与えなければならない』

当人にとってのメリットとデメリットを捉えること。
それができれば、どの行動を統制するのかしっかりと見極め、行動の直後に見返りを
与えてやること。
からの引用です。