「自己管理ができない本当の理由」
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人には他の動物と違って思考能力があります。その思考がルールを作り、人の行動を導
くことがあります。
今日やらなければならないことや、期日までに仕上げなければならないこと、約束や決
まりごとなど、思考をもって自分を導かなければならないことが数多くあります。
あるときは自分の目標のために。あるときは自己管理のために。

こんな経験はありませんか?
期末テストのために、計画を立てて勉強を始めようと決める。しかし、計画通りに進ま
ない。必ずといっていいほど、次の日、次の日と予定が先送りされる。「まだ大丈夫
だ、まだ大丈夫だ」そう自分に言って遊び呆けていたことが・・・。
そして、テストが一週間前に迫ると、もっと早くに始めていればと後悔する。それが常
でした。(;^_^A アセアセ・・・ 

女性の方なら・・・。
ダイエットを始めようと「今日からは間食をしない!」と決めます。しかし、母親が買
ってきたイチゴショートを目の前にすると・・・、「明日からでも大丈夫!」と居直っ
てしまうものです。そんなことが日々繰り返され、結局はダイエットに成功したためし
がない・・・。

我々は日々生活していく中で、決められたことはきちんとこなし、やり遂げていかなけ
ればなりません。しかし、時に、それが自分ではどうすることも出来ないことがありま
す。
朝起きられない。仕事をさぼってしまう。時間を守れない。期日までに仕上げることが
出来ない。予定を先延ばししてしまう。約束をきちんと守れない、などなど。
そんな自分に嫌気がさす経験は誰もがしてきたはずです。そんな自分を甘ったれた人
間、杜撰な人間、情けない人間だと戒めてきたはずです。
しかしです。
人には従いやすいルールと、従いにくいルールがあります。自己管理をするにあたっ
て、従いにくいルールで自分をコントロールしようとしていませんか?
従いやすいルールとは、

「一回の行動によって得られる見返りが十分な大きさで確実であること。メリットが大
きく確実であれば、そのルールは従いやすい。」

例えば、テストの範囲が分かっており勉強をすれば確実に良い点数が取れ、単位が取れ
る。やりさえすれば確実に成果が得られる。となると、人は勉強をする、といったもの
です。
懸賞応募でも「もれなく当たる」となれば、応募したくなりますよね!
エイズ予防にコンドームを!と呼びかけたところで、国内における感染率はそれほど高
くありません。しかし、それが感染率50%と公表されれば誰もがコンドームをするよ
うになるでしょう。
逆に、従いにくいルールとは、

「一回の行動によって得られる見返りが小さすぎたり、確率が低すぎたりするルールで
ある。」

エイズ予防で、一回のセックスで相手がキャリアである確率は非常に低い。感染するリ
スクは何万分の一以下、確立が低すぎるのです。

ダイエットにおいても、イチゴショートを一口食べただけで、体重がみるみる増えるわ
けではありません。
その一口は、「ほんの少し見えないぐらいの脂肪を付け、体重計でも量れないぐらいの
体重が増える」といった、ルールに過ぎないのです。
それではデメリットにはなりません。
それに、自分の好きなものを食べるという行為は、美味しいといった瞬時のメリットを
与えてくれます。
メリットのある行動は維持されやすい。
目の前のイチゴショートを食べてしまうのはそのためです。しかし、それを繰り返せば
体重増加は確実です。

タバコにおいても、いろんな害が叫ばれているにもかかわらず、なかなか喫煙者は減り
ません。今でこそ、やっと喫煙率が30%台まで下がりましたが。
やめよう、やめようと何度思ったことか。しかし、お酒の席や、待ち合わせの暇な時
に、ついつい手が出てしまう。それが幾度となく繰り返されている。
それも同じで、一回の行動における見返りが少なく、確率も低いからです。
タバコを一本吸わなかったからといって誰かに褒められるわけではありません。吸わな
いことで健康的になり体が優れ、意気揚々としてくるわけではありません。一回吸った
だけで癌に侵されるわけでもありません。吸い続けたとしても必ず癌に侵されるわけで
もないのです。
そんなことでは、タバコを吸うといったメリットのある行動を統制するのは難しいでし
ょう。
仮にその一本で確実にガンに侵される!と宣告されるとどうでしょう。喫煙率は限りな
く0に近づくはずです。

教育訓練給付制度を利用して英会話をはじめても、すぐに続かなくったことはないです
か?
その原因は、一回や二回通ったぐらいでは、何の効果も得られないからです。
少しでも話せるようになり、外人さんの言っていることが分かり始めて、そこに楽しさ
が生まれてやっと持続できるようになります。
何も話せない、何も聞き取れない、ストレスだけがたまる。そうなると「もういい。め
んどくさい」となってしまうものです。

ちりも積もれば山となることは分かっています。
自分の今の行動が後々の自分にどのように影響するかは分かっています。
しかし、どれほどちりを積もらせると山となるかが分かっていないために、人は失敗し
てしまうのです。

しっかりと周りの環境を吟味すれば、自分がなぜ出来ないのか、なぜ頑張れないのかが
見えてきます。
そこには、しっかりとした見返りが存在しない。結果は大きくてもその一つ一つの行動
における見返りが小さい、または確率が低すぎるのです。

世間は、やる気の問題だというかもしれません。やる気さえあれば何でも続けていけ
る、何でもやってのけていけるというかもしれません。
しかし、そんな根性論では人は動かないことは経験済みのはず。
人は意思の力で自分をコントロールしていると一般に考えられています。自分の思った
ように人は行動できるものだと思い込んでいるものです。
だから、何度言っても分からない人を見捨てたりします。
思い通りいかない自分を嫌になったりします。
人とは考えれば分かること、自分に言い聞かせれば出来るものだと思っているためでし
ょう。
困ったものです。
人はそんなにできた動物ではありません。思考とはルールであって、自分を自由自在に
操れる力ではありません。そんなものがあれば、人は誰もが夢を叶えています。
人に思考能力があるからといって、それは自分達を自分の思い通りに出来るということ
ではありません。
頭では分かっていても、行動に移せないのは環境の力を見逃しているためです。
思い通りにならないときは、環境を見てください。足りないものがそこにあるはずです。

まとめ
従いやすいルールとは、一回の行動によって得られる見返りが十分な大きさで確実であ
ること。メリットが大きく確実であれば、そのルールは従いやすい。
従いにくいルールとは、一回の行動によって得られる見返りが小さすぎたり、確率が低
すぎたりするルールである。
ちりも積もれば山となることは分かっています。自分の今の行動が後々の自分にどのよ
うに影響するかは分かっています。しかし、どれほどちりを積もらせると山となるかが
分かっていないために、人は失敗してしまうのです。
頭では分かっていても、行動に移せないのは環境の力を見逃しているためです。






14年前の「発行管理者:かずひさ」氏のメルマガ「やる気が出ない本当の理由」
からの引用です。