生きにくい社会
言葉でしか認識できないこともある。生きると言うことは死を待つということでもある。言葉を使わない思索はないのか。思いは言葉から生まれるのか。意識は魂のうわばみならば言葉は魂の言葉になりはしないか。
言葉でしか認識できないこともある。生きると言うことは死を待つということでもある。言葉を使わない思索はないのか。思いは言葉から生まれるのか。意識は魂のうわばみならば言葉は魂の言葉になりはしないか。
豊かになればなるほど、
生きることが難しくなってきて
いないだろうか。
豊かになればなるほど、
そこから見返りが失われ、
生きることに見返りが
なくなってきている現実があります。
日本社会では
生きることそれ自体では
見返りを得ることは出来ません。
どこかに地雷が
しかけてあるわけではありません。
誰かに命を狙われているわけでもありません。
命の危険にさらされる環境に
生きているわけではありません。
そんな平和な中では
「今日一日無事でいてくれてよかった」と
感謝されることはありません。
生きて当たり前の環境にいます。
そのような環境では、
ただ生きているだけでは
意味がありません。
ここに一つ、生きる難しさがあります。
そして、苦労や困難までもが、
今の社会から取り除かれようとしています。
苦労をすることは敬遠され、
楽なほう楽なほうへと転がろうとする。
楽なことは見返りがあるのかといえば、
実はそうではありません。
苦労があって、楽なことは活きてきます。
苦労がなくなれば、楽なことは、
ただの退屈でしかありません。
何もしない、何もしないでいい。
お金もあれば時間もある。
ただ、息を吸って吐いていれば、
それで人生が送られる。
そんな環境になれば、
人はたちまち生きていけなくなります。
人は辛い思いをして、
一所懸命にやりぬくことで
達成感や充実感を覚えていきます。
しかし、世の中が進もうとする社会は、
そんな見返りを与えてくれる社会では
なさそうです。
車の中で座っていれば
勝手にコンピューターが
運転してくれる時代になるのは、
そう遠くはないようです。
今では車間距離は自動に保たれ、
走行車線に沿って勝手に運転してくれる。
車の運転にさほど注意を向ける必要は
なくなってきたのです。
部屋の中でも、エアコンをつければ
快適な温度、快適な湿度が保たれ、
空気までもが浄化される。
森林浴が部屋の中で
できてしまうというぐらいです。
熱くなればクーラーをつけ、
寒くなれば暖房をつける。
汗をかくことを嫌い、体臭を嫌う。
汗を抑えるスプレーなどと、
人間の根幹を否定しようとする
おかしな商品さえ出回っている始末。
汗だくになって遊んだあとに
シャワーを浴びる爽快感はどこへやら。
寒い中での温かいポタージュスープ格別です。
そんな気分を味わえなくなる環境を
作っているのです。
パソコンやゲームにしても、
ただ座って指を少し動かしているだけで、
現実には体験できない感動や興奮を与えてくれる。
わざわざ辛い思いをして
山登りをしようとは思わないだろう。
山登りなど何が楽しいのか
分からないという若者はたくさんいます。
そんな辛い思いをするよりも、
快適な家のなかでパソコンやゲームをして
バーチャルな世界を楽しむほうが
よっぽどラクで楽しいといいます。
苦労や苦痛を乗り越えることに
達成感や満足感を得ることは
生きる上で大事なことです。
豊かな社会は、
本当に人を豊かにしているのでしょうか。
残念ながらそうではなさそうです。
便利にはなったが、
そこから奪われているものが
実は人間が生きていく上で
大事なものばかりのようです。
不快、苦痛、苦労、
取り除きたいものは
山ほどあるでしょうが、
それがあるおかげで
人は生きていける事実があります。
苦労も何もしないで手に入れたもの、
ラクして手に入れたもの、
そんなものに価値を見出すことは
出来ないものです。
ギャンブルで儲けたお金は
湯水のごとく無駄遣いされます。
しかし、汗水たらして
やっと手にしたお金は
大切に使うものです。
当たり前のようにある食事や水に
感謝している人はほとんどいません。
しかし、腹ペコのときに食べる
あんぱんと牛乳は
贅沢を感じずにいられないものです。
苦労の影にメリットがある。
その事実を忘れないで欲しいですね。
苦労や困難もないそんな環境は、
退屈でしかないことを
認識しておくべきです。
今、豊かな社会を目指して
我々から奪っているものは、
生きる上で大切なものです。
楽な環境に生きていれば、
それだけ生きる力は弱くなっていきます。
見返りの少ない環境に
生きていることになるからです。
どこに見返りを求めればいいのか、
どこで生きる力を養えばいいのか、
新たな生き方が求められています。
まとめ
生きていて当たり前の環境では、
生きているだけでは意味がありません。
ここに一つ、生きる難しさがあります。
何もしない、何もしないでいい。
お金もあれば時間もある。
ただ、息を吸って吐いていれば、
それで人生が送られる。
そんな環境になれば、
人はたちまち生きていけなくなります。
苦労や困難もないそんな環境は、
退屈でしかないことを
認識しておくべきです。
今、豊かな社会を目指して
我々から奪っているものは、
生きるうえで大切なものです。
楽な環境に生きていれば、